【第三回】ビジネスフレームワークを活用した瞬発型思考プロセスのトレーニング法を学ぶ

コンサルスキル
コンサルスキルのトレーニング方法

第二回までで論理的な思考の重要性、およびそのスキルを日常的に高めるトレーニング法をご紹介させていただきました。

まだ読んでいない方は是非こちらをご覧ください。

続いて第三回では「ビジネスフレームワーク(以下、フレームワーク)」を活用した「瞬間で結論に至る(瞬発型)」思考プロセスについてお話させていただきます。これを身に着けることで、前回までに足りなかった瞬発力を補うことが出来るため是非実際に体験してください。

ただ、「フレームワーク」についてあまりご存じない方もいると思いますので、まずは簡単にフレームワークの理解した上で、それをコミュニケーション上どのように活用していくか解説していきます。

それでは最後までお付き合いいただければ幸いです。

フレームワークを活用するには、まず命題を解釈するための「観点」を意識した話し方が出来るようになること

まず初めに、フレームワークとは「多くの事象を整理する観点を提供するツール」です。

この「観点」は、整理学において非常に重要な意味を持ちます。理由として、観点はあらゆる物事を整理する上で「何に注目してその構造化(グルーピング)をしたか判断するもの」だからです。

それでは、日常生活におけるコミュニケーションを例とし「観点」を理解してみましょう。

例)一緒に行く相手の好きな食べ物から一緒に行くお店を決定する

以下は「食べ物」を観点に「お店を決める」という命題(issue)をどう解決するか構造化した図になります。

食べ物を構造化した例

※上記例は枠の関係上「一旦レイヤーを無視して構造化している」こと、またMECE(漏れなく・ダブりなく)でないことをご了承ください。

では、観点を設けていない場合はどうなるのでしょうか?

ありがちな例としては、「今日どこにいこうか?」や「何を食べようか?」という非常に曖昧な質問をしてしまうことです。これが、仮に「焼肉か寿司にする?」など思い付きの質問をした場合、意思決定をする上で「この人はそれ以外を食べたくなにのでは?」と聞き手にとって公平さを欠いてしまいます。

よって、観点を設けることは意思決定に公平性を生み、かつ聞き手に解釈を委ねない優れた話し方であると言えます。

念のため、観点を設けた場合の話し方についても触れておきます。

例えば、「好きな食べ物で考えると、食材なら肉・魚・野菜のどれがいいか?ジャンルなら日本料理・洋食・アジア系のどれがいいか?」などのように、聞き手が意思決定するための考え方を示唆する話し方になります。

上記の話し方をすることで、飲食店選び基準に「店」という観点を設けている人、つまり別観点を持っている人からは「おしゃれさ」「従業員の接客」「移動距離」などの別アプローチを引き出すことも出来るでしょう。

よって、正しくお互いの観点を説明し、理解し合うことで命題に対し最適解にいたることが出来る。これこそがコンサルスキルを活用したコミュニケーションであり、フレームワークを活用するべースになります。

コミュニケーションに使うフレームワークは本質的な3つに絞る

それでは本題のフレームワークに入りましょう。

メジャーなフレームワークを検索すると「3C/4C分析」「SWOT分析」「PDCA」「Asis/Tobe分析」・・・など、数多くのフレームワークが紹介されています。確かにこれらフレームワークはビジネスの世界以外でも話に上がるほどメジャーな言葉として浸透しています。

しかし、これらフレームワークも元を正せば3つのフレームワーク「帰納法・演繹法(ロジカルシンキング・クリティカルシンキング)」「5W1H・5W2H」「MECE」に帰属します。何故なら、この4つのフレームワークをベースとし、数多(限定的または具体的)のケースに当てはめたものが他フレームワークだからです。

フレームワークの関係性

つまり、これら3つのフレームワークを日常的なコミュニケーションで鍛えることこそが今回のトレーニングです。通称「地頭トレーニング」とも呼ばれるものですが、そのコミュニケーション版だと考えてください。

それでは具体的な使い方覚え、日々トレーニングしていきましょう

「5W1H/5W2H」に当てはめることで「正確」かつ「分かりやすい」コミュニケーションが出来る

それでは早速「5W1H/5W2H」から見ていきましょう。この2つには大きな差がないため、5W1Hを前提に話を進めていきます。5W1Hは英語の授業でも習った「Why」「How」「Who」「What」「When」「Where」の構造に当てはめるフレームワークを指します。

5W1Hの重要度(時計回り)

では、コミュニケーション上で5W1Hをどのように使うのでしょうか?
具体的に使える場面としては大きく2つあります。

コミュニケーションにおける5W1H

「1文における構造の漏れを無くす」とは、ある1つの文章を構造化した場合にその漏れがないことをチェックする役割を指します。例えばこれを日常のケースに当てはめたとします。

「初めて会う人を食事に誘う」ことを1文にしたケース

「〇月〇日(When)、親睦を深めるため(Why)に二人(Who)でイタリアン(Where)を食べながら(What)お話して(How)みませんか?」

例文としては大分ナンパな感じになってしまいましたが一旦気にしないでください(笑)

ここで注目して欲しいことは、誘われた相手が「何故この人と行かなければならないか」、「具体的にはいつ・どこで・何をするのか?」など疑問を持たせない1文(=正確性のある1文)にすることが出来たという事実です。

「話全体における構造の漏れを無くす」とは、ある複数の文章からなる会話全体を構造化した場合にその漏れがないことをチェックする役割を指します。例えばこれを日常のケースに当てはめたとします。

「初めて会う人を食事に誘う」ことを会話にしたケース

結論:Why/How
「これから親睦を深めていくため、まずは一度直接お話しませんか?」

要因:Who/What/When/Where
「最近知り合いの社長さんから教えてもらったのですが、新宿に新しくオープンしたイタリアンがとても美味しかったそうです。凄くおしゃれとのことで、男一人では入り辛いので是非今週末の夜にご一緒していただけませんか?」

更にナンパな文になってしまいましたが気にしないでください(笑)

ここで注目していただきたいのが、5W1Hの重要度(Why→How→・・・)を意識すると必然的に結論から話しやすい(=分かりやすさ)ということです。更に補足情報として残りの要素を活用することで、日本人が苦手とする「主語」を明確にすることも出来ます。

つまり、5W1Hに当てはめることで「正確性」×「分かりやすさ」を得ることが出来る優れたフレームワークであることが立証されました。

補足しておきますが、5W1Hは聞く場合においても同様です。

話し手の内容を5W1Hに当てはめることで相手が何を言っているのか構造的に理解し、何の情報が足りないか把握するための手助けになります。一応、日常生活におけるコミュニケーションを通してトレーニングすることが本プログラムの趣旨になるためビジネスでの使い方は解説はしませんが、タスク確認をする場合などに良く使います。是非活用してみましょう!

帰納法と演繹法を用いることで自分の意見を明確にする

続いては帰納法と演繹法について触れていきましょう。この2つはセットで使用することで非常に強力な効果を生みます。

帰納法を理解することで「瞬発力」が身に着く

帰納法は別名「三段論法」と呼ばれ、異なる3つの事象から共通項を見出し1つの仮説=結論を導くフレームワークです。そのため、三段論法を用いると何故その仮説に至ったのか聞き手に伝えることが出来ます。

帰納法(三段論法)

ここで言う「観察事象」とは、具体的な事例を指します。3つの具体的な事例から「結論」を出すことを「三段論法」と言います。

では、これを日常生活にケースに当てはめてみます。

お分かりいただけたでしょうか?

ここでは「知名度」「料理のジャンル」「値段」「味」の観点がありますが、A・B・Cに共通して言えることは「値段が高い」「味がいい」という事実(ファクト)です。
逆に「テレビや雑誌で紹介されている=知名度」と「料理のジャンル=フランス・イタリア・和食」は異なっているファクトですね。
だからこそ、ファクトから「値段・知名度に関わらず値段が高いところは美味しい」という、納得感のある「結論」が導き出せた訳です。

実は、第2回で「とりあえず結論を明確にし、結論に至った背景(要因)を3つに分けましょう」と言った理由が、この三段論法をスムーズに出来るためのトレーニングだったのです。

突然人から話を振られた際、三段論法を使うと最低限変な発言をしないで済みます 。是非使いこなしましょう!

帰納法を使うにあたっての注意点

上記例からも分かりますが、考えが浅いうちは特にほぼ必ずと言っていいほど例外があり、結論はあくまでも見えている範囲での結論(=仮説)に過ぎないということです。

演繹法を理解することで「仮説検証」し、より優れた答えを導きだすことが出来る

演繹法を理解することで、帰納法で導いた答えをより深く考える「仮説検証」が出来ます。
仮説検証と聞いても良く分からないと思いますが、簡単にいってしまえば「出した結論」が「あっているか考える」行為を指します。

演繹法の代表例として「空・雨・傘」フレームワーク(※1)がありますが、基本的な構造は演繹法を参考に分かりやすくしたものだと考えてください。
※1. 「空を見たら雲が出ている(事実)」→「雨が降りそうだ(経験)」→「傘を持っていく必要がある(結論)」というファクトから結論を導くために用いられるフレームワークです。

演繹法のモデル図

これに先ほど帰納法で導いた「値段・知名度に関わらず値段が高いところは美味しい」という結論を、より納得感のある結論にしてみましょう。

演繹法を用いてより考えを昇華した図

事実からより具体的に行き届いた結論を導き出せたことがお分かりいただけたでしょうか?

これをコミュニケーションの中で実践するには少し時間がかかります。単純に「タイ料理は安くても美味しい」とだけ言ったら、相手の結論をただ否定したことになるため何も意味がありません。
大切なことは、相手の意見を尊重しつつ、かつ自分にとっても納得のいく結論に持っていくための思考プロセスこそが円滑なコミュニケーションを支える技術になるのです。

だからこそ、演繹法を使うことで所謂「聞き上手」と呼ばれるコミュニケーション手法をマスターすることが出来ます。もちろん天然で出来ている方もいますが、「自分が聞くのが上手ではない」と少しでも感じる方には是非試してみてはいかがでしょうか?

MECEかチェックすることで「無駄」を徹底的に排除する

コミュニケーションにおける重要なフレームワークの最後がMECE(※2)です。
※2. MECEの意味は「漏れなく、ダブりなく」で、物事を論理的に正しく捉えることが出来る考え方を指します。

「この人同じこと何回も言っている・・・」とコミュニケーションで感じたことはありませんか?実際「話が長い」や「説得力がない」と言われる人は総じてMECEではないことが原因です。構造化の際にも少しお話させていただきましたが、構造が明確であれば人は話し手の意図していることを言葉が分からずともある程度正しく理解することが出来ます。

所謂「専門用語は分かりませんでしたが、理解は出来ました」という状態ですね。それはただの知識が問題になるだけで、相手をそこまで持っていくことが出来れば全く問題ありません。

「分かりやすい話し手」は当然MECEであることが求められます。同様に「相手の話をすぐに理解できる聞き手」もMECEに考え、話し手の仮説における矛盾点をすぐに挙げることが出来ると言えるでしょう。

後は実践を繰り返すことで、既にコンサルスキルのベースは整う

ここまでで一旦コンサルスキルの簡単な身に着け方は終わりです。

何故なら、これらを理解し実践していくことで、気が付けばあなたのコミュニーションスキルは格段に上がり、あらゆる場面で自然に論理的な思考が出来るからです。

大切なことなので繰り返しますが、後は「いかに意識し、これらを使いこなすことが出来るか?」が課題です。そのために「日常生活のコミュニケーションでトレーニングする」ことが一番の課題解決に繋がります。

もちろん独身で日々の生活に追われている方には「そもそもコミュニケーションする場がない」などのご意見があるのも十分に承知しています。そのため、次回は「コミュニケーションする場の獲得方法」や、更にスキル向上を目指した「具体的な問題集」「ロジカルシンキング・クリティカルシンキング」などを予定しています。

それでは次回をお楽しみに!

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